子供の頃、もんじゃ焼やのメニューにある「子どもビール」に憧れていました。大人だけに許されたビールが子どもでも飲めるのかと期待を込めて親に尋ねると、「子どもビール」とは書いてあるけれど全くのノンアルコールではないから飲んではダメと言われました。
ではなぜ「子どもビール」なんて書くのだろうと子供心に不満に思ったものです。
当時お店にあった「子どもビール」はホッピー (Hoppy)のことで、コクカ飲料株式会社(現・ホッピービバレッジ株式会社)が1948年に発売した、麦酒様清涼飲料水(炭酸飲料でビールテイスト飲料の一種)です。ホッピー発売当時はビールが高価なものであったので、ビールの代用品の「焼酎割飲料」としても使われました。
ホッピーは、日本の旧酒税法時代にその製法を免許されているため、現行酒税法では認められていない製法(例えば、工程中に製品アルコール濃度が1%を超過する)での製造が唯一可能です。製品には0.8%のアルコール分が含まれているけれど1%未満のため、清涼飲料水の扱いとなっているのです。その為「子どもビール」と書かれていたのかもしれません。
しかし、微量ではあるけれどアルコールが含まれているため、やはり子どもは飲まない方が良いのでしょう。また、飲用者の体質や複数本を飲用した場合、ホッピーを飲んだ後の車の運転は避けた方が良いかもしれません。呼気中のアルコール濃度が上昇し酒気帯び運転になる場合があるからです。
昨今は本当に「こどもびいる」という名称で、麦芽やホップが一切使用されていない、アップル風味の炭酸飲料が発売されています。これは正真正銘、子供用の飲み物です。黒ビール番「こどもびいる黒」もあり、こちらは梅風味ということで、更に爽やかな味なのでしょう。
TVの子供向け番組のラベルのついた物も一時期発売されており、一般に広く知られるようになりました。数本セットで贈答用としても売上を伸ばしているようです。
「こどもびいる」は10年程前、博多にあるもんじゃ焼店で考案されたビール風ドリンクとして誕生したらしく、取引業者からビール瓶入りのジュースを見せてもらったときに「こどもびいる」を思いつき、自分でラベルをつくり、もとのラベルをはがして貼り付けるというのがスタートだったらしいです。
おもちゃやお菓子のタバコを吸う真似をしたり、口紅と思い込んでリップクリームを塗ったり、大人に隠れて大人の真似をすることはとても楽しくそしてドキドキする時間でした。そんな時代を思いだしながら「こどもびいる」をお子さんと一緒に飲むのも素敵かもしれません。
そしてきっと、本当の子供用ビール(中身はジュースですが)が発売されたということで、昔行ったもんじゃ焼き屋のホッピーからはもう「子どもビール」の文字は消されていることでしょう。
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