そもそも保湿するべき?脱保湿もするべき?
脱ステロイドをするときに問題となるのが保湿するかしないかです。
保湿するべきかどうかの結論は統一されておらずまちまちです。
ただはっきりしていることは、保湿をしなくても大丈夫な人と保湿しないと余計に悪化する人に別れることだけです。
この違いを説や立場と考えるのではなく、その人の肌質によると考える説が出てきました。
つまり、保湿しないと悪化するなら保湿したほうがいいということ。なぜなら、健康肌の人でも、保湿しなくて済んでいる人が多くいます。だから人の肌にとって、必ずしも保湿が必要不可欠というわけではないと言えます。
逆に、乾燥肌がひどい人は保湿しないともっと悪化するから、保湿が必要という人もいます。
その場合、健康肌の人にとって保湿が必要不可欠かどうかは言い争われませんよね。
なぜ保湿が必要な人とそうでない人がいるのか?
保湿が必要ならどんな保湿クリームが使えそうなのか?
この2点について整理しました。
【大前提!】脱ステロイドの本当の効果と意味
脱ステロイドをして肌状態が良くなった!ステロイドなんていらんかったんや!!
という声があるのは事実です。
でも当然、脱ステロイドをやったら余計に酷くなってグチャグチャになったという人も多いです。
脱ステロイドが正解なのか不正解なのかというのは、皮膚科医であっても意見、立場が違うほど安定していない議論です。
ただはっきり言えることは、脱ステロイドしたから肌状態が良くなったのではなく、ステロイドに頼らなくても自己回復力で治った、ということ。
だから、まるでステロイドを使っていたこと自体が悪であるというのは行き過ぎた話です。
なぜなら、軽い肌荒れ程度ならステロイド系の軟膏やクリームが処方されることは良くあり、やはりかなり効きます。これはステロイドに炎症を鎮める作用が強力にあるからです。
これをステロイドを用いずにのらりくらりと治療していると、炎症が進んで重篤化することがあります。
市販薬だと治りがイマイチだったけど、病院で出してもらった塗り薬だと一発で治った!ということがよくありますが、その場合、症状にもよりますがステロイド系の薬だったりします。
そして数日で治療完了。ステロイドを使わなくなります。
つまり、これもある意味脱ステロイドです。意味としては。
だから、一般的に言う脱ステロイドというのは、自分自身の肌の回復力が余っているなら可能であり、それが全く足りていないのなら脱ステロイドは不可能ということになります。
脱保湿は人により可能だけど…
脱ステロイドと同じく脱保湿でも立場が完全に分かれますよね。
ただ共通しているのは、肌のバリア機能は必要だということ。
肌のバリア機能とは、肌表面にある角質層内の細胞間脂質と水分によって発揮される、異物や刺激を跳ね返す機能です。
ステロイドを常用しないといけない肌状態の場合、ほとんどの人がバリア機能不足になっています。そのため、健康肌だと何ともない軽い刺激が肌奥に通過して炎症が起きてしまいます。
また常に刺激に晒され続けるため、次々と炎症が連鎖的に起きてしまいひどい状態になります。
保湿ケアというのは、この状態を防ぐために必要なケアです。
細胞間脂質の半分を占めるセラミドが肌水分量の要。セラミドが不足すると乾燥します。ひどい肌荒れが続くと角質層の積み重なりがぼろぼろになり、そこにあったセラミド等が流出して常時乾燥状態になります。
肌が乾燥しているから保湿が必要というより、乾燥していると炎症が発生するため保湿をしなくてはならないといったほうが直接的ですね。
しかしステロイドを常時使用していると、どうしてもセラミドを作る機能が弱くなってしまいます。そのため乾燥しやすくなります。
そこで保湿が必要…となるのですが、この肌の保水力維持機能、正確には、表皮細胞のターンオーバー(この過程でセラミドが生まれる)が人により強い弱いがあります。
全く同じように洗顔して、同じようなものを食べて、同じような睡眠時間でも、片方が乾燥気味、片方がうるおい肌ということはよくあります。
これが脱ステロイドしたときに差となって現れやすくなり、脱保湿しても大丈夫な人と、どうやっても無理な人に分かれてしまいます。
脱ステロイドも脱保湿も人次第
おそらくこの「脱」という日本語イメージが良くないのだと思います。
「脱」ということは悪い状態から脱する印象を与えます。
だから、
1.100から0にしてしまう
2.それまでのケアが100%間違いだったとする
という大きな間違いをしがちなんですね。
ステロイドが炎症抑えるのは間違いありませんし、それにより症状の悪化を防げていたのは間違いありません。
ただ、自己回復力が戻ってきているなら、その戻っている部分減らしてやる「減」ステロイドという過程が必要ではないでしょうか。症状が出てきたら使う、治まったら使わない、なるべく減らしてみるといった段階的なのが普通でしょう。完全にステロイドが悪魔の存在としてしまうと、どんな状況でもステロイドを使ってはいけないことになり、そのひどい状態さえ乗り越えれば快方に向かうというチャンスさえ潰しかねません。
脱保湿についても同じで、肌は本来保湿ケアを必要とはしません。
しかし、表皮細胞のターンオーバー力、セラミド生産力には個人差があります。特に炎症が起きているとセラミドを作る酵素が働かなくなります。
ステロイドから開放された肌が順調にセラミドを作りバリア機能を回復させていくなら、別に保湿ケアは必須ではありません。
ただ、その回復が遅い人は、保湿ケアなりして肌を保護しないと、また簡単に刺激にさらされて炎症地獄です。
保湿化粧品、保湿剤の中には、どうしても刺激になりうるものが含まれています。使わないで済むなら使わないほうがいいのは確か。
しかし、その保湿を悪とするルールに縛られることで、仮に刺激となりうる成分があったとしても、それが微量である限り外からの刺激のほうが害悪です。トレードオフの関係になりますが、すぐに炎症が起きてしまうようなら、保湿を少し施してやるのは何ら間違ったケアではないでしょう。
ステロイドを使っていた肌に適した保湿クリームは?
一般的にはワセリン、ヒルドイドやビーソフテンですね。
ワセリンの外部バリア機能は非常に高く、ヒルドイドやビーソフテンは潤いが長く続きます。
しかし、これらはどれも現状を助けるものです。
乾燥状態の角質層を、セラミドが十分にあるバリア機能が高まった状態に近づけるのが保湿ケアです。
既にステロイドで角質層が弱くもろく、そして薄くなっているため、人によっては保湿クリームの成分に過剰反応します。そのため保湿したほうが肌が荒れるという人がいます。こんな人は保湿を悪とするでしょう。
逆に表皮細胞のターンオーバー、セラミド生産力が戻ってきていない場合は、保湿していないと刺激感を強く感じ、また炎症をぶり返すことになります。
つまり、保湿が必要なければしなくてもいいのですが、保湿が必要となった場合、いかに刺激リスクがなく、かつバリア機能回復の手助けになるか?その点を重要視して保湿クリームを選ぶ必要があるということになりますよね。
脱ステロイドと並行して使える「セラミドを増やす」保湿クリーム
通常、保湿クリーム自体が何か肌状態を改善させることはありません。あくまで水分保持、バリア機能を人工的に助けるだけ。それにより、肌本来の機能をアシストするものです。
ただ唯一例外として、塗ることでセラミドを増加させる保湿クリームがあります。
その成分がライスパワーエキスNo.11です。
ライスパワーエキスNo.11の効能と仕組み
ライスパワーエキスは勇心酒造という酒造メーカーが発見、製造している成分。
国産米を発酵させて作る成分で、肌に浸透するとセラミドの生産を助けて肌水分量を改善する効能が認められています。これは医薬部外品として認定されています。
これを主体とする保湿クリームは、他の一般的な保湿クリームのように肌表面で皮膜を作りバリア機能を人工的に復活させるのではなく、その人自身のセラミド生産力を引き上げ、自力でバリア機能改善を導くものです。
そのため、仮に頻繁に塗ってもいわゆる過剰保湿になりにくく、よりセラミド生産力を高めることとなります。
脱ステロイド後の肌は非常に不安定で弱い状態です。この肌状態にたっぷりと一般的な保湿クリームを塗り重ねるのは肌に負担となります。
肌本来が持つ自然保湿機能を邪魔してしまうからです。
汗、皮脂、肌常在菌…これらが織りなす天然の保湿機能は、肌水分が十分にあり、何も覆われていない自然な肌状態でこそ一番発揮されます。
そのため、過剰保湿になるとこれら機能が抑制されてしまい、保湿クリームに頼らないと刺激を受け続け、いつまで経っても脱ステロイドが完成しなくなります。
その点ライスパワーエキスNo.11の保湿クリームは、肌表面を邪魔せず内部から改善。だから肌本来の機能を邪魔せず、難しい内側からのセラミド生産を助けてくれるというもってこいの性質があるのです。
【意外に多い勘違い!】保湿クリームの使い方
脱ステロイド時の保湿クリームの使い方で、意外に多いのが間違った使い方をしている人が多いということ。
一般的に症状を治めるのは薬、医薬品だけであり、その他の化粧品類は何か症状を抑えることはできず、せいぜい予防にとどまります。
それなのに、保湿クリームを肌状態が悪いところに塗ってしまう人が意外に多いということ。
さすがにジュクジュクになっているところに塗る人はいないでしょうが、ちょっと赤いかな?という部分なら、保湿クリームを塗ることで悪化が防げると思い込む人がいます。
しかしそれは大間違い!
脱ステロイド中は、一般的な健康肌とは完全に別状態。健康肌なら、多少のうっすらした赤み程度なら、別に保湿クリームを塗っても悪化する確率は半々かもしれません。でも脱ステロイド中は肌状態が非常に弱いため、軽い赤み状態ででも保湿クリームによって症状が悪化します。
無害とされるワセリンでさえ悪化する人もいます。それくらい弱い状態です。
脱ステロイド中の保湿ケアというのは、あくまで何ともない肌状態のときに使うものであり、状態が少しでもおかしい場合はステロイドかステロイドでないにかかわらず、その症状を抑える薬しか塗ってはいけません。仮に塗るとしても、薬を塗ってからです。そういう使い方はあります。
脱ステロイド中の保湿クリーム選びは、肌への刺激リスクが少ないものを選ぶだけでなく、使う本人の徹底した意識も非常に重要です。