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相続人の特定方法~銀行や登記手続きのために

おじいちゃんやおばあちゃん。

父や母が亡くなると必要になるのが相続手続きですよね。

この相続。やったことがなくてイメージが掴みづらく、考えただけで嫌になってこないでしょうか?

でも、相続手続きの話は段階を踏めば、揉めるかどうかは置いておいて難しくありません。

そのために必要な大前提が相続人は誰なのか?これを特定することです。

いざ銀行口座の解約、不動産の相続登記をと思って銀行や役所にいったら、しばらくして「まだ相続人がおられるようですが、この方のハンコはありますか?」と聞かれて「はい?」となるかもしれませんよ。

戸籍謄本を集めるのが相続人特定の全て

まず何から始めればいいの?

相続人は誰なのか?その特定は必ず根拠が必要です。

相続人は私と兄です…と、これを銀行や役所など赤の他人に証明するには、それに足りるだけの戸籍謄本が必要です。

つまり、相続人の特定でまず始めるべきことは、戸籍謄本の収集です。

近所の役所に行くのはちょっと待った!

近所の役所に「戸籍ください!」って言えばいいの?

近所の役所では取得できないことがよくあります。

なぜなら、住んでいる場所と本籍地が違うことが多いからです。

戸籍謄本を請求するべき役所は、本籍地のある役所です。

自分の本籍地が分からないのなら、住民票で、本籍地のチェック欄に印を入れて請求すれば分かります。

自分以外の家族の場合は、同一世帯なら委任状がなくても取得できます。そもそも、自分の住民票を取るつもりで、世帯全員と請求すれば他の家族も掲載されますからね。

亡くなった人の出生から死亡までの戸籍の意味

本籍地に戸籍謄本を請求すればいいんだね?

実際に請求する前にイメージをしておいてください。

集めていくべき戸籍謄本は、亡くなった人に関するものです。

自分の親が亡くなったのであるなら、親が亡くなったと記載がある戸籍謄本から、親が生まれたときの時代に存在していた戸籍謄本まで全てです。

出生から死亡までの経緯が全てわかることで、身内に知られていない子どもや養子が見つかることがあります。逆に言うと、そういった者が出てこなかったら、相続人は今の家族だけであることが証明されるわけです。

戸籍を全部揃える意味を理解しよう

生まれたという記載のある手元に戸籍謄本ならあるよ。これでいいんじゃない?

戸籍謄本には今現在のことも過去のことも書いてあります。

特にコンピューター化される前の縦書きの戸籍謄本は、書いてあることが昔のこととして書いてあるのか、新たに加えられたことなのか判別しにくいものがあります。

そのため、父や母の生まれた時のことが記載されていて、それをもってして出生までの戸籍が手に入ったと勘違いする人は多いです。

相続人特定のための戸籍謄本の集め方は、その戸籍がいつ作成され、いつ閉鎖(普通に請求しても見れなくなる)されたか?を戸籍それぞれで確定させ、1日の隙間もなく繋いでいく作業です。

つまり、その戸籍謄本で死亡の記載がない人は、その戸籍謄本が作られて閉鎖されるまでの間、確実に生存していたということが分かります。もし死んでいたら、それ以降その人の相続人は増えないから、その時点で相続人が特定確定されるわけです。

そうやって戸籍謄本を繋いでいくと、ただ亡くなった人の一生を追いかけるだけで、自動的に相続人が書面上に浮かび上がってくる寸法です。

戸籍がいつ作られた無くなるかのポイント

戸籍がいつ作られて、いつ閉鎖されたってどうやって判断するの?

戸籍が作られるのは、現代なら結婚や転籍などが一般的。こういったことがある度に、新しい戸籍が作られます。

昔なら分家、家督相続などがあります。

一家の長が長男だった場合、次男が結婚して嫁をもらっても、今のように戸籍から抜けずに戸主という一家の長の戸籍に留まり、嫁がその戸籍に入ります。つまり、この場合は新しい戸籍が作られません。

分家というのは、新しい一家の長を作る、つまり戸籍を作るということなので、この場合は新しい戸籍が誕生します。

閉鎖されるのは、その戸籍に誰も所属しなくなったときです。

もしくは、法律上、戸籍謄本をそのまま新しい物に書き換えて閉鎖されることもあります。

これらは全て日にちと共に記載されているので、その日付を記録していき、次の戸籍を探してつなげていきます。

本籍地は過去一箇所とは限らない

本籍地の役所で戸籍が全部揃うの?

揃う場合もあれば、揃わないときもあります。

例えば、それぞれ未婚の男女が結婚した場合、それぞれが親の戸籍から抜け出るため、全く新しい戸籍謄本が出来上がります。その際に本籍地をどこにするか選択するので、東京から北海道、大阪から沖縄みたいに全く違う役所に戸籍が出来上がることもあります。

そのため、亡くなった人の本籍地移動が激しいと、あっちにいってこっちにいってとなり、何回も役所を回ったり申請書を郵送する必要があります。

戸籍が揃ったあとの特定方法のイメージ

戸籍謄本が揃った!どうやって相続人を特定するの?

亡くなった瞬間に、誰が生存していたか?によります。

典型的な、配偶者と子どもが残された場合、その全員が相続人です。

子供だけの場合もその全員です。養子も含みます。

家系図を縦に書いた場合、亡くなった人の一番最初にくる下側の人。亡くなった人の真横の人は特殊な事情がない限り常に相続人となりえます。

逆に上方向は違います。

亡くなった人の親がまだ存命である場合は、亡くなった人の子どもが一人もいなかった場合に相続人となりえます。

さらに、その親も他界している場合は、少し上に上がって横に伸びる兄弟姉妹が相続人となりえます。

つまり、縦書き家系図で見た場合、真横と真下は普通相続人になるというわけです。

この知識を元に、亡くなった人の真横と下側に伸びる人を家系図に落とし込めていきます。

相続人の特定は戸籍の通数が少なければ簡単

相続人の特定自体は誰でもできることなの?

誰でもできることですが、複雑ないきさつがある人はかなりややこしくなるのと、相続登記などを放置していたケースでは、昔の民法が適用されるケースもあり、そうそうスムーズにいかないこともあります。

また、一箇所の役所で全て揃わなかった場合、役所まかせで揃えることができないため(一箇所なら相続に使う旨を伝えれば全てそろえてくれる)、ある程度自分で紡ぎ出していく作業が必要になります。

その際、古くなればなるほど、達筆な字と印字の乱れにより解読が困難になってきます。

そのような場合は、慣れていない人にはかなり難解な作業になってしまうでしょう。

逆に戸籍謄本が3冊くらいで特定できる人もいて、そんな場合はあっさり終わってしまうこともあります。

専門家に相続人の特定を依頼する場合は?

誰か専門家にやってもらう場合は誰に頼めばいいの?

相続手続きの依頼には、司法書士や税理士が絡むことが多いです。

前者は手続全般と不動産登記。後者は同じく手続全般と税務関係です。

どちらも戸籍の扱いには慣れているので、相続人特定作業を依頼するのに問題はありません。ただ税理士にはさらに専門分野が分かれるため、中には相続絡みに疎い人もいるため、事前に確認したほうがいいこともあります。

また行政書士も戸籍をよく扱っているので、そちらも依頼候補にあがります。

もし不動産登記が控えているなら、最初から司法書に依頼したほうが手間も費用も省けますね。

また当然の事ながら弁護士も対象範囲です。ただ弁護士も税理士以上に専門分野の得手不得手があるため、依頼を受け付けないところもあるので注意。例えば医療事故裁判が専門の事務所に、相続人特定の話を持ち込んでもお互いに困ってしまいますからね。

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